2019年冬号

小学2年生の子を持つ 親として思うこと

あとがき

 親になり、教育ということについて改めて考えるようになりました。自分のこと中心に考えてきた今までとは違い、これからの生活が、子というひとりの人間の人生を左右すると考えたとき責任の重さを感じました。教育といっても色々あると思います。勉強だけでなく、正しい生活習慣や友好的な人間関係、はたまた環境問題や世界情勢に至るまで、どこまで教えればいいのか、教わるだけでなく自分で考えられるようになるにはどう接したらよいのか、など考え始めるとキリがありません。そんなとき、がん教育に携わる機会を得て、まだまだやるべき教育が多いことに気づかされました。
 「2人に1人ががんになる。」それを聞いて驚く人がいるはずです。周囲でも、がんに対して他の病気以上に怖がったり、死を連想したりする意見を聞きます。多くの人が、がんにたいして正しい情報・間違った情報を入り混じって持っている印象を受けます。それはやはり正しい知識を得る場が少ないからだと思います。私の場合、家族や親族ががんになって初めて、病院でがんについて詳しく知りました。私のように家族や親族ががんになって初めて病院や書籍等でがんの正しい知識を得るといった方々は多いのではないでしょうか。その他では、インターネットやSNS等といった情報源から知識を得る場合がほとんどで、しかしそれらは正しいかそうでないかの判断がとても難しいように思います。だからこそ、がんになってから考えるのではなく、がんを正しく知って、ならない努力や早期に発見する方法、正しく治療を受けて治すこと、そしてがんになってしまったとしてもどのように向き合っていくのかを学んでいかなければならないと強く感じました。
 がんを知ることは大切、でも小・中学校の授業に盛り込んでまで習う必要があるのか?と考える人は少なくないと思います。現にこれ以上教えることは時間的な難しさも感じます。しかし、子どもたちは長い時間をかけなくても心の琴線に触れさえすれば、自ずと学びます。印象に残れば、後々にでも新たに学び始めるはずです。自分の身体を大切にする、その土台を大人たちが、がん教育を使ってどう作っていけるかではないでしょうか。知識も情報も与えることを制限してはいけません。そこから取捨選択できる環境が重要だと思います。
 私の身近にも、がんで亡くなった方とそのご家族、がんと闘っている方がいます。その方々との接し方を日々考えています。正しい知識を得てこそ、がんに関わる方との接し方の答えを導き出していけるのではないかと思っています。間違った接し方や偏見を無くすためにも、子どもたちへのがん教育によって大人も一緒に学び、家族や友人、大人も子どもも一緒に話し合い考える時間を築いていくことが重要であると思います。今後、よりよいがん教育の場が構築されることを期待しております。

石川 由貴

神奈川県立がんセンター臨床研究所
がん教育・がんサバイバーシップ
支援研究ユニット研究アシスタント

神奈川県横浜市出身、東京農業大学農学部を卒業。その後就職・結婚・出産を経て、2019年9月神奈川県立がんセンター臨床研究所がん教育・がんサバイバーシップ支援研究ユニットの研究アシスタントに着任。現在1児の母。

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